乱れ散った桜。

名前を呼んでいる。

振り返るのが恐い。

身体を巡る鮮血を直視出来ない。

鉄の味。懐かしい味。

かつて僕はその中に居た。

あの桜の花弁の様に、ひらひらと時を刻み、うねる空間を漂っていた。

帰るんだ。唯一の道。一目散に駈け出そう。


吹き荒れる桜吹雪。紡ぎ出す暗闇に身を投げた。


どこまでも暗く。深く。